【本日のテーマ】代理2
本日の講義の「図解」は以下からダウンロードして下さい。↓
http://www.law-ed07.com/kougi/0009.pdf
それでは、「代理」の2回目です。
前回は、代理の仕組み、代理権の種類、代理権の範囲について説明しました。
今日は「代理権の制限」という話です。
代理人は、本人から頼まれたことであれば、基本的に自由に代理行為を行うこ
とができます。
しかし、こういう代理行為を認めたのでは本人に不利益だという場合に、代理
権が制限されることがあります。
具体的には、「自己契約」と「双方代理」といわれるものです。
この2つは思い出したように時々出題されます。
早速、ダウンロードした図表1を見て下さい。
Aが不動産の売却を代理人Bに依頼しました。依頼を受けたBはこの不動産を
自分が欲しくなって、B自身が買主になったとします。
要するに、Bは一方ではAの代理人としての立場で不動産を売り、他方ではB
自身が個人の立場で買主となった、というわけです。
代理人=相手方となっています。
代理というのは、前回説明しましたように、代理人自身が契約行為を行います。
ということは、Bが代理人=相手方の立場で契約するということは、自分一人
で何事も決めて契約できるということになります。自分一人で契約するので、
「自己契約」というわけです。
これはそんなに説明しなくても、不都合だということは理解できると思います。
単純に価格一つをとっても、Bが一人で契約するのなら、不当に安い価格にす
る可能性もあるわけです。
これでは、本人の利益を害します。
そこで、このような「自己契約」は禁止されます。
続いて、「双方代理」といわれるものです。
ダウンロードした図2をご覧下さい。
Aは、不動産を代理人Bを通してCに売却するという事例ですが、Bは一方で
売主Aの代理人であるとともに、他方で買主Cの代理人にもなっています。
この場合、B自身が買主になっているわけではありませんので、たとえば不動
産の価格を安くしても、それはCが得をするだけで、B自身が得をするわけで
はありません。
しかし、代理において契約行為を行うのは、代理人ですから、この契約はB一
人で行うことに変わりはありません。
したがって、Bのやり方いかんでは、本人Aか本人Cのいずれかの利益を害す
る恐れがあります。
ゆえに、この「双方代理」も禁止です。
このように、自己契約も双方代理も禁止されていますが、禁止されているから
といって、みんなそのような行為をしないというものでもありません。
中には、禁を破って自己契約や双方代理を行う者も出てきます。
そのような場合は、どうなるかというと、自己契約や双方代理は認められてい
ないわけですから、そのような代理行為には、「代理権」がないということに
なります。代理権のない代理行為は、「無権代理」行為といいます。
「無権代理」というのは、次回か次々回で説明することになりますので、今日
の時点では、「自己契約や双方代理を行えば、無権代理行為になり、本人は追
認することも可能だ。」というのを押さえておいて下さい。
無権代理をやった後は、この文章は、スッキリ分かるようになります。
以上、自己契約、双方代理は禁止だという話をしましたが、これは「原則とし
て」ということです。
法律というのは、大体において、「原則」というのと「例外」というのがあり
ます。
そして、この「例外」が問われることが結構多いんです。
自己契約・双方代理の禁止にも、例外があります。
つまり自己契約や双方代理を行ってもよい場合ですよね。
2つありますので、覚えて下さい。
1.本人があらかじめ許諾した場合
2.債務の履行
自己契約や双方代理は本人に不利益を及ぼすということで、禁止されていまし
た。
そうであれば、本人に不利益がなければいいではないか、ということになりま
す。
1.と2.はいずれも本人に不利益がない場合と考えてもらえばいいです。
1.は本人が同意しているわけですから、それで問題はないでしょう。
2.はちょっと説明がいるかと思いますが、「債務の履行」というのは、具体的
には代金の支払いとか、移転登記の申請などのことを指します。
たとえば、Aの代理人としてBが、Aの不動産をCに売却したとします。この
Bの代理行為は、自己契約でも双方代理でもないということが前提ですよ。
普通に、BとCが2人で契約をしたという場合です。これで、契約の内容が決
まったことになります。
契約が締結されれば、後はその契約の履行、つまり債務の履行の問題が残りま
す。
たとえば、A名義の登記は、買主のC名義に変更しないといけません。
この移転登記の申請については、すでに契約で決まった内容の履行です。
これで新たにAに不利益を及ぼすようなことは起こりません。
そのような債務の履行については、自己契約や双方代理はいいですよ、という
ことです。
たとえば、この登記の移転について、Aが知り合いの司法書士Dに依頼したと
します。このような登記の移転は司法書士の仕事です。
それならば、ということでCもついでにこの登記の申請については、同じ司法
書士のDに頼みましょう、ということになったとします。
この場合、司法書士DはAとCの双方代理の形になっています。
しかし、この移転登記は、Aの義務であって、これらを行うことによって、新
たにAやCが不利益になるということはありません。
このような債務の履行については、自己契約や双方代理もできます。