【本日のテーマ】意思表示3~錯誤、心裡留保
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http://www.law-ed07.com/kougi/0007.pdf
それでは、詐欺・強迫、虚偽表示に続いて「意思表示」の3回目です。
今日は、「錯誤」からいきましょう。
「錯誤」というのは、言葉から分かるので、あえて説明する必要もないでしょ
うが、勘違いをして契約をしてしまったような場合です。
Aがその所有の不動産をBに売却したが、その売却の意思表示が錯誤によるも
のであった場合、この契約は「無効」になります。
ただ、この錯誤の場合は、詐欺・強迫や、虚偽表示のように、すぐに無効や取
消という話にはなりません。
というのは、錯誤というのは、Aが自分で勘違いしたわけであり、詐欺・強迫
のようにBがなんらかの悪いことをしたというわけではないからです。
したがって、錯誤による意思表示は無効になりますが、この錯誤による無効を
主張するには、2つの要件が必要になってきます。
この2つの要件は非常に重要ですので覚えて下さい。
1.契約などの「要素」に錯誤があったこと
2.表意者(意思表示をした者のこと)に重過失がないこと
この2つです。
1.の「要素」の錯誤というのは、分かりにくい言葉ですね。
契約の「重要な部分」と考えて下さい。
契約のささいな部分に錯誤があるということで、錯誤無効の主張を認めると、
後で契約にケチを付けて、契約の履行を拒む口実にされてしまいます。
契約が無効であるといって、契約の効力を否定するには、それなりに契約の重
要な部分に錯誤があった場合でないといけないということです。
2.は、表意者(最初の事例でいうとAのこと)が勘違いで契約をしたが、その
勘違いがあまりに表意者の不注意による場合(重過失、つまり重大な過失)に
は、錯誤による無効を認めるのは妥当でないという意味です。
この要素の錯誤という点と、表意者に重過失がないという2つの要件をクリア
したときだけ、錯誤による無効の主張が認められます。
さて、この2つの要件を満たし、錯誤による無効の主張が認められた場合には、
詐欺・強迫、虚偽表示と同様に第三者との関係が問題になります。
つまり、A→B→Cと不動産が譲渡されたが、Aが錯誤を理由にAB間の契約
の無効を主張をした場合、この不動産はAのものになるのか、Cのものになる
のかということです。
この場合の説明はなかなか難しいんですが、前に説明したように、このような
場合のAC間の関係は、Aに落ち度があるかどうかで考えればよいという話と
符合するように説明しましょう。
そもそもAが錯誤による意思表示の無効を主張するには、Aに重大な過失がな
いということが要件だったと思います。
つまり、Aの落ち度は少ないということが前提だったはずです。
それならば、この場合Aが勝つ、言い換えると、Aは錯誤による意思表示の無
効を善意の第三者に対抗することができる、と考えて下さい。
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次に、後半は意思表示の最後で、「心裡留保」というものです。
まあ、法律用語というのは難しいものが多いですよね。民法は、実は最近口語
化というのがされて、読みやすくなったんですが、もともとは明治時代にでき
た法律です。
そこで、こういう難しい言葉が残っているんですよね。
「心裡留保」とは、民法の表現で言うと、「表意者がその真意ではないことを
知ってした」意思表示のことです。表意者が自分で真意でないことを知って意
思表示をしているわけですから、分かりやすい例で言えば、冗談で意思表示を
したような場合です。
これは、本人の真意ではないにしても、一応本人は意思表示をしているわけで
すから、原則として、この意思表示は有効です。
ただ、本人はその気がないわけですから、相手方も本人が真意ではないという
ことを知っていた(悪意)か、過失があって相手が真意でないというというこ
とに気が付かなかったような場合にまで、無理に契約を有効とする必要はあり
ません。
このような場合、つまり相手方が悪意か、善意でも過失があった場合は、契約
は例外的に「無効」となります。
そこで、この心裡留保による契約が例外的に無効になった場合は、詐欺・強迫
等のような場合と同様に、A→B→Cと不動産が譲渡された場合に、ACの優
劣はどうなるかということが問題になります。
これもAの落ち度の具合で考えましょう。
心裡留保による意思表示は、本人のうかつな発言によって契約をしたわけです
から、Aに落ち度ありです。
したがって、心裡留保による意思表示は、善意の第三者に対抗できません。
よろしいでしょうか?
それでは、ここでちょっと問題を出してみましょう。
A→B→Cと不動産が譲渡され、Aの意思表示が心裡留保によるものであった
としましょう。
1.B:善意無過失、C:善意
2.B:善意無過失、C:悪意
3.B:悪意、C:善意
4.B:悪意、C:悪意
1.~4.までの場合、ACの優劣はどうなりますでしょうか?
答えは、
1.Cの勝ち
2.Cの勝ち
3.Cの勝ち
4.Aの勝ち
となります。
1.と2.は、Cが善意であろうと、悪意であろうと、Bが善意無過失である以上、
AB間の契約は有効です。したがって、不動産はCのものになります。
2.がひっかかりやすかったでしょうか。
3.と4.は、Bが悪意なので、AB間の契約は無効となりますが、3.のCが善意
であれば、不動産はCのものとなります。
意思表示の内容は以上です。
ところで、ここでまとめて説明した方が理解しやすいと思いますので、説明し
ますが、最初に制限能力者というのをやりました。
未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人というところですよね。
これらの制限能力者が一人で契約などをした場合、取り消すことができると説
明しました。
もちろん、例外などで取り消せない場合もありますが、制限能力者であること
を理由に取り消せる場合、同じように第三者との関係が問題になります。
つまり、A→B→Cと不動産が譲渡され、Aが制限能力者であることを理由に
取り消した場合、Cが善意であれば、Aが保護されるのか、Cが保護されるの
か、という問題が生じてきます。
これは結論から言うと、Aが保護されます。
理由は、制限能力者保護ということです。
やはり、判断能力のない人は保護してあげないといけません。
Cは善意ですが、制限能力者であるAの保護が優先されます。